つぼみの中で春を待つ

もうすぐ春が来る。

14日間の入院を経て外に出たら梅が咲いていて春めき始めていた。

これから暖かくなってくる。寒い季節が苦手なわたしは、これからの気候を考えて少し安堵している。新しい命が芽吹くこれからの季節と共にわたしも生まれ変わりたい。




今回、5回目の入院で大きな一歩を踏めた気がする。

今回も入院目的は「解毒」

5日間ほどは離脱症状があった。普段の離脱よりかはだいぶ楽で、思ったよりすっぱり抜けられた。

OTでは毎日60分エアロバイクを漕いだ。
平日の毎日の個人面談では課題に取り組んだ。

14日間の入院というのは入院時に決めた。離脱が終われば退院したくなることが分かりきっていたから、あらかじめ退院日を設定した。

やはり退院したい欲求はきた。

同じく薬物依存の友達たちに「わたしが退院したいと言ったら止めてほしい」と頼んであったため、友達たちは止めてくれた。

退院したい旨を担当医に伝えた。
担当医はこう言った。

「退院したいと思って退院することと、薬を飲みたいと思って飲むこと、これは同じようなものだよね。どちらも衝動的にならない、衝動に飲み込まれないようにするというのは今後薬の欲求に耐えるために必要なことなんじゃないかな?」

ど正論をかまされた。

衝動に"ひとりで"耐えようとして、爆発した結果負けてしまうということがわたしには多いような気がする。

精神科に入院する人たちの中には、大好きな看護師さんができたり、ハグしてもらったり、メッセージをもらったりということがある人たちが一定数いるが、わたしには考えられないことだ。

心を開くということができない。
"どうせ"話したって無駄だと思う。

けれども今回は人に頼ってみようと思った。
人を信じてみたいと思ったのだ。

看護師に退院したい欲求を話してみた。
その看護師とは波長が合わなくて苛立つばかりでうまくいかなかった。やはり頼らなければよかったと失敗体験になってしまった。

その直後、作業療法士さんが面談に来た。

「調子が悪いので今日は課題ができません」

「そうですか。ではまた明日来ますね」

「あの、話を聞いてもらえませんか?」

もう一度話をしてみようと試みた。
作業療法士さんはわたしの話を親身に聞いてくれ、分析してくれた。とてもわかりやすく整理してくれた。

わたしのために資料をまとめてくれて毎日きてくれる作業療法士さんを裏切りたくないと思って退院は予定通りにするという決断をした。

その日からわたしの目標は「継続」になった。

・入院を継続する
・お風呂に毎日入る
・エアロバイクを毎日漕ぐ
・入院中は3食きちんと食べる
・課題をやり続ける

継続は力なり

継続ができてきて自己肯定感も上がった。今日も頑張れたから明日も頑張ろうとモチベーションも上がった。

もう少し人を信じてもいいかもしれない。
人って案外悪くないかも。

そう思えた。

トラウマができて人を信じられなくなり、その結果今までの友達とトラブルになって縁を切ることになってしまったり、そんな風に人間不信のループにいた。
人への安心安全感のイメージを取り戻すことが私の今後の目標なのだとよくわかった。

そうして無事に退院日を迎えた。




私は今つぼみの中にいる。
だんだんと花びらが開き、そこには日差しが待っている。


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